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日本酒女子図鑑#2

わたなべさやか(伝統発酵醸師)

現在HPにて連載中の『おうち居酒屋のススメ』のレシピ考案者としてお馴染みのわたなべさやかさん。料理教室や執筆活動を通じて日本の食文化を伝える伝統発酵醸師であり、一児の母でもある彼女のマイストーリーとは。

料理の世界へ

食卓から暮らしを豊かにする。現在、四季折々の手作りを楽しむ料理教室「ORIORI」を主宰するわたなべさんだが、元々はアパレル企業に勤務していたそうだ。
「社内のバイヤー達が世界中から良いものを見つけてくる中で、私は日本のモノ、特に器に惹かれてコレクションするようになりました。そうしたら器の中に盛り付ける料理も上手になりたいと思い、そこから料理にのめり込んでいきました。今でも沖縄の焼き物はずっと変わらず好きで、あと益子焼とかも。旅行のついでに酒器や食器を買いに行ったりしますね」。
アパレル企業では日本各地に出向き、服やモノを通して文化を発信するライフスタイルショップの開発に携わっていたという。
「日本で暮らしているのに、知らないことがすごくいっぱいあると思っていたので、出張するたびにその土地のものを食べたり、お酒に興味を持ったりしていく中で、伝統文化を残していきたいなという気持ちが芽生えていきました」。
その後、日本料理教室のアシスタントとなり、和食の世界へ。2014年に日本酒とおばんざいの居酒屋「煮炊きやおわん」を立ち上げ、初代女将となる。
「食に携わる仕事はずっとしたくて。昔ながらの作り方で作る味噌仕込みや伝統的な発酵調味料など、先人たちの知恵を私が繋いで、後世に残していきたいという気持ちから、料理教室をすることになりました」。

日本酒への目覚め

日本酒との出会い、それはアパレル勤務時代にさかのぼる。
「ずっとお酒が苦手だと思っていたのですが、仕事が九州担当だったので、焼酎をすすめられているうちに段々と慣れました。日本酒は、出張先の金沢で地元の人にすすめられたものが、とっても美味しくて。日本酒は飲めないと思っていただけに、余計に嬉しかったです。もっと若い時に日本酒を知っていたら良かったなぁ(笑)」。
これを機に日本酒に対するイメージが変わったという。
「日本酒って辛くて、おじさんが飲んでいるイメージがあったけど、すごくフルーティーで、ワインみたいな感じで飲めて、料理にも合う。特に美味しいと思ったのは『風の森』で、衝撃的でしたね。あとは『紀土-KID-』とか」。
いわゆる”モダン日本酒”と言われる部類の銘柄と出会い、以後日本酒がどんどん好きになっていったそう。では普段、どんな時に日本酒を飲んでいるのだろうか。
「週末がほとんどですが、あとは料理教室の前日など、“明日は頑張ろう”と思う時に飲むかな。教室前は不安や緊張もあって色々と気合が入りすぎちゃうのですが、お酒を飲んでリラックスするように心掛けて、その日を迎えるようにしています」。

日本酒女子会との出会い

日本酒女子会の料理番長”と呼ばれ、BBQなど日本酒女子会の数々のイベントで料理を担当するわたなべさん。そもそも日本酒女子会に参加するきっかけとは。
「日本橋茅場町でお店(煮炊きやおわん)をやっていた時に、事務局長さんから“日本酒女子会に来てみない?”と声を掛けてもらいました。日本酒女子会の記念すべき第1回のキックオフパーティーもそのお店でやりましたね。“こんなにたくさんの女子が日本酒を飲んでいる”というのが、その時の印象でした。土地柄、お客さんはサラリーマンが多く8割9割が男性客だったので、女性だけでテーブルを占拠する光景がすごく新鮮だったことを覚えています」。

気になる晩酌のお相手は

『おうち居酒屋のススメ』のレシピ考案者である、わたなべさんの晩酌のおつまみは気になるところ。
「トマトやきゅうりなど、野菜をそのまま切ったものが多いかな。あとはチーズとか。簡単に作れるもので、冷蔵庫の中にある“下ごしらえ”してあるものが多いですね。自分で作った味噌できゅうりを和えるなど」。

さすが、伝統発酵醸師である。ところで、わたなべさんにはもうすぐ5歳になるお子さんがいるそうだが、晩酌はお子さんが寝た後だろうか。
「いやもう、付き合ってもらいます(笑)。寝かしつけてからゆっくりというのは、自分も一緒に寝てしまうので、絶対にないです。最近は話すのも楽しくなってきたから、晩酌の話し相手が息子です。夕飯の延長で、子供に“お酒とってきて〜”とか言って。ちゃんとグラスとかも選んでくれて、そこについでもらったお酒を飲んでいます」。
仕事に、子育てに、と忙しい日々の疲れを癒す、最高のリラックスタイム。なんと素敵な晩酌相手だろう。

未来へ繋げる想い

子供が生まれたことで、ガラッと変わったというライフスタイル。料理教室や育児を通じて、伝えたい想いとは。最後に、今後について聞いてみた。
「今、料理教室を子供に向けたものとして何かやりたいなと思っています。何があるか分からない世の中だから、お味噌汁とご飯ぐらいは自分で作れるようになって欲しい。ママがいなくても、これだけは伝えておけば安心と思える料理教室。子供が家のことを一通りできるようになるのは、8歳だそうです。素朴でいいから生活の基礎になるような“生きる基礎”を小学校に上がる前に身に付けるというか。味覚を小さいうちに育ててあげるということはすごく大事だし、やりたくてもできないお母さんもいっぱいいるから、その人達の力にもなりたいと思います」。
東京都墨田区出身。地域に育てられたという、わたなべさん。“食を通じて恩返しする、地域のおばさんでいたい(笑)”と語る彼女は、人として一番大切なことを伝承しているのかもしれない。

わたなべさんの食器と酒器のコレクション

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